平方鍼法とは?

 治療には大きく分けて西洋医学と東洋医学があります。東洋医学とは、はり・灸・漢方薬の3種類があり、いずれか1つ、又は組み合わせによって病気を治す方法です。しかし東洋医学における鍼治療(以前から行われてきた鍼)は、中国哲学(陰陽五行説)にその治療の根拠をおき、経験的かつ観念的に偏ったものです。
 故平方龍男先生・故平方義信先生は、医学的鍼治療は「普遍的妥当性」すなわち鍼科学ということに注目し、個人個人の治療体験を仮説により立証された再現性のある「新しい鍼(平方鍼法)」を考案し、研究し、確立しました。この鍼法は鍼師なら誰でも施術可能であり到達しうる技術として、きわめて信ぴょう性のあるものといえるところまで確立されております。

 新しい鍼とは治療の根拠を現代医療におき鍼治療の特色を生かして疾病を治癒せしめるものです。
 21世紀にいたり現代医療は科学的診断と合理的治療においてめざましい発展を遂げてきました。基礎医学(解剖学・生理学・病理学など)に基づいて、臨床医学(内科学・外科学・小児科・婦人科・眼科・耳鼻科など)において、鍼治療の効果効能を研究し寄与することを目的としています。
 人の体は病に冒されると必ず表面に何らかの変化を生じます。また自覚症状も現れてきます。このようなものをとらえて、我々は触診・問診をはじめ、その他の診察法のもとに病気に対し鍼治療に必要な科学的解明を行います。そして鍼を用いて速やかに病気を回復へと向ける努力を続けております。


   循環器における鍼治療の効用

 血管を流れる血液の流れ方はよく道路に例えられることがあります。事故や渋滞などで交通渋滞が起こると、日常生活がうまくいかないのと同様に、人の体の中で血液の流れが妨げられた場合、色々な現象が起こってきます。手足の冷えや臓器器官の機能低下、痛みやしびれなど、人の体において血液の流れは重要な役割をしめています。
 血管の中を走る動脈血は、肺で積まれた酸素や肝臓で積まれた各種栄養素を充分含み、各臓器組織細胞などに供給され生体の活動の元となります。各臓器組織細胞などで使いきった栄養素や酸素は、静脈血で心臓・肺・肝臓に戻されリサイクルされます。
 しかし人の体は静脈血だけで回収しきれるものではなく、リンパ管やリンパ節を通して全ての組織液が回収されることになっています。
 このリンパの流れが滞ると、静脈血の流れも滞り、動脈血の供給も妨げられることになります。従ってリンパの流れを改善することにより、静脈血動脈血が速やかに送られ戻されることになります。言い換えれば、家屋で南側の窓と北側の窓を開けておくと風通しが良くなるように、リンパ管リンパ節の流れを促すことによって、人の体の循環は正常を保ち健康な体が作られることになります。
 私たちの提供する鍼治療は、慢性疾患においてリンパの流れを改善することにより、様々な循環障害を改善し、健康状態が維持できることを治療の目的としています。
 また急性疾患においても、消炎鍼療をもって急性炎症に対して著効を呈する方法を開発してきました。研究錬磨された鍼の技術は、血液の流れを改善促進し、人の体の循環を改善することにより多くの疾患から回復を図り、各種の病気から健康へと導くことができます。
 病気の本質は、この循環障害とも言えるくらいに循環の改善は大切なものであり、私たちの鍼治療において多数の臨床例が報告されています。

   神経系における鍼治療の効用

 人における神経系は知覚神経・運動神経・自律神経の3種に分けられます。
 運動神経は筋肉・腱・靱帯などに分布し、知覚神経は感覚器・目・鼻・舌(味覚)・耳・皮膚などに分布します。
 また自律神経は交感神経と副交感神経に別れ、胸部や腹部の臓器、皮膚の発汗や、意志ではコントロールできない一般生活現象の反応にまでその支配が及んでいます。
 この神経系統に対して、私たちのところで研究開発した鍼治療は以下のような効果効能を生体に現します。
 知覚(感覚)神経には、痛みに対しては鎮静・鎮痛効果を促し、しびれに対してはその異常感をなくしたり和らげたりすることができます。
 臓器や組織の機能を回復することにより、視覚・聴覚・平衡感覚・味覚・触圧覚・痛覚・温覚・冷覚などを回復することができます。
 運動神経では主に筋肉の麻痺やけいれんなどにも著明な効果を現わすものがみられます。
 自律神経では不眠・発汗異常・動悸や息切れなどの効果や、胃や腸の状態を整え、疾患の改善を図ることができます。

   内分泌系(ホルモン系)における鍼治療の効用

 人の体において内分泌の働きは大きなものがあり、フィードバック機構という一定以上のホルモンが出なくなる働きがあります。ホルモンが多く出ると臓器は休み、少ない場合には働くものです。しかし薬物では多くなったり少なくなったりして調整が難しく、鍼治療では生体反応を促すため、最も適切なホルモン量を反応せしめることができます。この作用によりストレスや発汗異常・不妊症・動悸など様々な症状を改善することができます。

   その他の鍼治療の効用

 代謝障害:新陳代謝が不活発になると、太りすぎたり痩せすぎたり、血液の成分が偏ったりします。食生活や適度な運動と共に、鍼治療を行うことにより電解質代謝を改善し、カルシウムやカリウムなどの働きを良くし、痛風(尿酸が多くなる)などの痛みを緩和させます。
 ストレスに対する治療:現代社会において様々なストレスが感じられます。鍼治療は副腎部の反応および自律神経の調整を行うことにより、疲労感や倦怠感・脱力感・イライラなどをなくすことができます。
 健康管理:治療に使える鍼を予防医学としても用います。この予防医学的な鍼の用い方は、最も効果的な健康管理です。病気になる前になりにくい体を作ることにより、毎日を快適に精力的に暮らすことができます。疲れの段階で生体の有害因子を取り除くことにより、病気知らずの健康状態を保ち続けることができます。
 カウンセリング:現代社会はコミュニケーションの不足により、精神的に追いつめられたりします。時間をかける鍼治療は、心の問題を解決し精神的安らぎを与え、人本来の好ましい精神状態に整えることができます。


   鍼治療で効果を現す病気や症状

 次に鍼治療の適応症として効果・効能のある疾患、改善がみられる疾患、鍼の治療で病気の進行を抑えることのできる疾患を挙げてみます。

1.頭部の疾患

 (1) 片頭痛・頭重
 (2) 円形脱毛症・青年の脱毛
 (3) 脳血管障害・脳出血・脳梗塞・クモ膜下出血・一過性脳虚血などの後遺症

2.耳鼻咽喉の疾患

 (1) メニエル病・めまい・耳鳴り
 (2) 突発性難聴、これは2週間以内に受診してください。
 (3) 滲出性中耳炎・外耳炎
 (4) 扁桃炎・咽頭炎・声のかすれ・発声障害
 (5) アレルギー性鼻炎、この疾患は季節発症の前に受診してください。蓄膿症・副鼻腔炎
 (6) 口内炎・歯周病(歯槽膿漏)・唾液性の障害・歯根膿炎(歯根膜炎)

3.目の疾患

 (1) 中心性網膜炎
 (2) 白内障:これは軽症のものの治療と、本症の進行を止めるために行われますが、最近は手術も簡単にできるようになりましたので、眼科や病院の治療も勧めることがあります。
 (3) アレルギー性結膜炎
 (4) 鼻涙管閉塞・ドライアイ
 (5) 仮性近視
 (6) 目の痛み・疲れ目:乱視や老眼からくるもの
 (7) 緑内障:これは手術の非適応症で、進行を止めたい方には効果があります。

4.顔面の疾患

 (1) 顔面神経麻痺
 (2) 顔面神経けいれん
 (3) 三叉神経痛
 (4) 味覚異常

5.呼吸器の疾患

 (1) 慢性気管支炎・小児気管支炎
 (2) 喘息、気管支拡張症
 (3) 気胸
 (4) せき・声・のどの異常

6.消化器疾患

 (1) 胃炎(急性・慢性)
 (2) 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
 (3) 胃けいれん・消化不良・胃の膨満感・胸焼け・胃酸過多症・拒食症など摂食障害
 (4) 大腸過敏症・下痢・便秘・消化吸収障害
 (5) 大腸炎
 (6) 胆のう炎・胆石(石が1cm以下のもの)
 (7) 急性及び慢性肝炎
 (8) 糖尿病(軽度のもの)
 (9) 慢性膵炎

7.循環器の疾患

 (1) 軽度の狭心症・心筋梗塞
 (2) 手足の冷え
 (3) 高血圧・起立性低血圧
 (4) 動悸・息切れ・不整脈
 (5) 頻脈・心臓神経症

8.女性の疾患

 (1) 不妊症・月経異常
 (2) 子宮内膜炎
 (3) 妊娠中の流感(薬物が使えない時)

9.泌尿器の疾患

 (1) 慢性及び急性膀胱炎
 (2) 軽度慢性腎炎
 (3) 前立腺炎:おおむね前立腺肥大と共にありますが、炎症を鍼でとることにより症状が改善されます。

10.筋骨格の疾患

 (1) 頸筋捻挫(むち打ち症)
 (2) 頸肩腕症候群
 (3) 急性腰筋捻挫(ギックリ腰)
 (4) 頚部・背部・腰部の寝ちがえ
 (5) 腰部・頚部の椎間板ヘルニア
 (6) 軽度の滑り症・分離症
 (7) 脊椎過敏症
 (8) 肩関節周囲炎(五十肩)
 (9) 肘・手・指のけんしょう炎
 (10) 変形性腰椎症
 (11) 各部関節炎
 (12) 手・足の痛み
 (13) 各部関節捻挫・打撲
 (14) 骨折後の後遺症
 (15) 慢性関節リューマチ:この疾患は女性に多く、若い頃に発病した場合は、おおむね重症になります。高年になるにつれて軽症のものが多くなり、治療は発病後早ければ早いほど効果が現れやすく、治るか進行を止めることができます。

11.皮膚の疾患

 (1) アトピー性皮膚炎
 (2) 帯状疱疹
 (3) じんましん

12.小児の疾患

 (1) 夜泣き・かんの虫
 (2) 夜尿症
 (3) 小児気管支炎
 (4) 小児喘息

13.神経系疾患

 (1) 坐骨神経痛・肋間神経痛など各部神経痛
 (2) 顔面神経麻痺・顔面筋けいれん:顔面神経麻痺(末梢性)は、そのほとんどのものが治癒します。罹患後の来院が早ければ早いほど治り方がよくて、1週間以内に来院されることをお勧めします。
 (3) 手足のしびれ・各部のけいれん
 (4) 不眠症
 (5) 発汗異常

14.その他の疾患

 (1) 生活習慣病(成人病)の予防
 (2) 健康作りのための予防医学としての継続的な鍼治療
 (3) 精神的ストレスからくるものへの健康管理的な鍼治療

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